第131回 「2019私大入試展望 ②」
皆さん、こんにちは! 前回に引き続き目前に迫った2019私大入試最前線を分析します。前回のトピックスは2018私大入試を根底から翻弄した「定員超過の罰則強化」が見送られた、と言うものでした。しかも、その猶予期間は3年間を目途に設定されているようなので、当面の間は、当初予想されていたような更なる難化は避けられる見通しです。
しかしながら、逆に言うと2018私大入試の難しさが温存されたという見立ても成立する訳です。決して厳しさが緩む方向ではないという事を認識してください。ただ2020年から予定されている入試制度改革に伴う新たな混乱と、「定員超過の罰則強化」による混乱がダブルで発生する事は無さそうです。
文部科学省に3年間もの猶予を決断させた2018私大入試とはどれほどのものだったのでしょうか?始まりは都市部の大学への学生集中を緩和する事が目的でした。あらかじめ決められた定員に対し、2016年度は1.17倍、2017年度は1.14倍、そして2018年度は1.10倍と徐々に切り上げられ、この倍率基準を超過した場合は私学助成金全額カットと言うものでした。従来は多めに合格者を出して入学者を確保する手法が一般的でしたが、万一辞退者が想定より少ないと入学手続きを済ませてしまう学生数が1.10倍を超えてしまい、罰則へ一直線になります。事業収入の大きな柱である私学助成金の全額カットは大学側にすれば最悪の事態ですので、安全を見て合格者数を過剰に減らすという事態が頻発し、A判定でも合格できないという生徒さんも多く発生した訳です。
定員を1名でも超えれば、即ペナルティーとなる訳ですから、大学サイドが神経質になる事は理解できますが、例年なら8000名規模の合格者を出していた有力大学が5800名まで一気に合格者を絞り込むなど極端な現象に受験生が翻弄されたと言えるでしょう。
また一方では合格者を絞り込み過ぎて追加合格や追加募集を行う大学も目立ちました。これらによって他大学に入学者を奪われた大学が新たに定員割れとなり、ここでも追加合格が出される連鎖が発生したわけです。結果的に入学式直前に進学先が変わる学生が増えるなど、大学側も学生側も混乱が続きました。
2019私大入試では大学側も多少なりとも経験を積んだ訳ですので、上記のような事態が少しでも沈静化する事を望みたいですね。