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第85回 「”多様化”と”二極化”のはざまで」

皆さん!こんにちは!!ここ数年の大学受験のキーワードはズバリ!!「多様化」と「二極化」です。国立大学協会が「定員の3割までを多様な入試に」という目標を掲げているために入試手段の多様化は進んだものの、一般入試枠を巡る争いは激化する事になります。また、首都圏を中心に人気大学はますます志願者を集めている一方で、定員を満たすことの出来ない不人気校が続出するという二極化も進んでいます。
少々古い記事になりますが、この2大潮流を上手く解き明かしている以下のNHKの記事をご紹介します。活用して頭の中を整理しておきましょう!!

「多様化・二極化 大学入試の傾向は?」

Q.大学入試センター試験も終わりましたね?

A.先週末には追試験や再試験が行われ、センター試験の日程が終わりました。そしてきのうからは国公立大学の2次試験の願書の受付が始まっています。大学入試センターによりますと、ことしは地理歴史や理科などの同じグループの科目で平均点に20点以上差がある場合に行われる得点調整はないということです。
大手予備校が受験生の自己採点などを元に分析したところ、センター試験の平均点は去年とほぼ同じになりそうですが、問題の中身をみると複数の資料から内容を読み解く問題など、3年後に始まる大学入学共通テストにつながるようなものが見られ、過去のセンター試験の問題を解くパターン学習だけをしてきた受験生にはやや難易度があがったということです。センター試験の結果を受けて、受験生にとっては志望校を最終的に決める時期ということになります。

Q.タイトルには「多様化・二極化」と出ていましたが、これが今年の特徴なのですか?

A.簡単に言うと多様化は受験制度、二極化は大学ごとの人気度で、そのことが受験生に少なからず影響しているのが今年の大学入試ということです。

大学入試 今年の特徴

大学受験年齢の18歳人口はこれから減っていきますが、今年度はほとんど横ばいです。それでもセンター試験の志願者は、58万2千人あまり。去年と比べておよそ6700人増え、3年連続の増加となりました。

Q.どうして増えたのですか?

A.現役、浪人とも増えていて、特に今の高校3年生のうちセンター試験を志願した生徒の割合を示す現役志願率が44.6%と過去最高です。センター試験は171のすべての国公立大学とともに、私立大学526校や短期大学も利用します。定員の一部をセンター試験の結果だけで判断する学部などもあり、多様化する入試に出願できるところを少しでも確保しようという受験生心理の現れと大手予備校は分析しています。

センター試験志願者

Q.多様化の影響で、センター試験の志願者が増えたということですね?

A.そうです。一方で、入試の多様化は別の要因ももたらしています。国立大学の中にも、定員の一部を推薦入試や面接、グループディスカッションなどを元に合否を判断するなど大学独自の選抜方法で合格者を決めるAO入試に振り替える動きが広がっているのです。AO入試の定員は4039人と361人、推薦入試は11950人と74人増えています。

Q.その分の定員は純粋に増えるのですか?

A.そうはいきません。その分は一般入試の枠を減らすことになります。中には2次試験の後期日程を止めてAO・推薦入試を拡大する大学もあります。結果的に一般入試の枠が狭くなる、つまりハードルが上がるところもあります。

入試の多様化

Q.どうしてAOや推薦入試を増やす動きが出ているのですか?

A.1つには国立大学協会が「定員の3割までを多様な入試に」という目標を掲げていることがあります。ただ、こうした動きを積極的に進めている大学にはモチベーションの高い学生に入学してもらうことで、学生全体に好影響を与えてもらいたいという思惑があります。
AO入試というと日本ではとかく学力不問の入試と思われがちですが、難関大学のAO入試は提出された書類を元に面接やグループ討議など複数の審査を重ねて選考する本来のアメリカのadmission office型の厳しいものになっているといいます。従来型の模擬試験の結果など成績で志望校を決めたのではなく、「真の第1志望の学生を取りたい」というわけです。

Q.確かにその方が大学に行く目的意識も高まりそうですね。今年は学部の人気に特徴はあるのですか?

A.学部の人気は景気や社会情勢に左右されると言われていますが、大企業の雇用情勢が回復していることを受けて、文系では経済、経営、商学部と国際系の学部の人気が高い傾向です。
一方、理系では東京オリンピック・パラリンピックを前に、社会的インフラの再構築が求められる状況を反映して、建築や土木系の学部の人気が高まっているほか、人工知能への注目が集まる情報工学の分野も志願者が増えそうだということです。逆に農学部や水産学部系は人気に陰りが出ているということです。

Q.色々な要因があるということなのですね。学部の人気が二極化というのがもう一つの特徴の二極化ということですか?

A.こうした学部人気の特徴は去年あたりから変わらない傾向です。今回二極化というのは私立大学で大都市圏にあって人気の高い大学と受験生が定員に満たない大学への二極化です。今年はこれがさらに顕著になると見られています。
地方を中心に受験すれば行ける大学がある一方、人気の大学は受験生がより集まることになります。

大学入試の二極化

Q.そうすると人気の大学は難しくなるということですか?

A.少なくとも志願者は増えることになるかもしれません。実は私立大学についてはもう一つ、気になることがあります。

Q.何でしょう?

A.文部科学省が、大学の定員を大幅に上回る入学者を出したらその大学への補助金を打ち切るという方針を打ち出したことです。
私立大学は、合格者の一部が別の大学に合格してそちらを選ぶことを見越して定員より多くの合格者を出してきました。その場合見通しを誤ると定員を超える学生が入学する事態となっていました。しかし文部科学省がこれを認めない方針を打ち出したことで、去年の入試から私立大学が合格者数を慎重にする動きが広がっていて、ある大学は去年合格者数を2000人減らしました。
大規模な大学の場合、去年は定員の1.14倍を超えなければよかったのが今年は1.1倍を超えれば補助金が打ち切られることになっているためさらにこうした傾向が強まると見られています。そうなると人気大学は受験者数が増えるのに合格者数は抑制するということで、結果的に狭き門となる可能性があります。

大学入試は狭き門に

Q.受験生にとっては気になる状況ですね?

A.そうは言っても受験方法や試験そのものが大幅に変わったわけではありません。大事なことは、受験生は目先の志願倍率に惑わされないようこれまで培ってきた実力を十分発揮することです。国公立大学の2次試験の出願は今月31日までです。センター試験の結果で気を緩めたり弱気になったりせず、気持ちを切り替えて本番に備えて欲しいと思います。
全国的にインフルエンザが流行期を迎えていますから、手洗いやうがいなど基本的な対策を怠らないようにして乗り切って欲しいと思います。

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