第84回 「受験シーズン本番直前の考察 Ⅶ」
皆さん!こんにちは!!今回は「受験シーズン本番直前の考察」の総括編として私立大学の志願者数並びに合格者数を総合的に振り返りたいと思います。
志望者増加と合格者減少により”ところてん現象”が発生している事は当ブログ第62回で解説いたしましたが、今回振り返る数字によってその”ところてん現象”が一層鮮明に浮き彫りにされる事になります。
この事実から予想される事は、やはり私立大学受験2019において歴史的難易度が維持されるのであろうという事です。覚悟を決めて取り掛からなければ、あっさりと返り討ちに合う事は必定です。一日も早く腹を括って受験勉強に取り掛かりましょう。
記事は駿台からです。
<2018年度私立大一般入試動向>
2018年度私立大一般入試動向を駿台予備学校による5/25現在の集計データ(志願者数:500大学集計・合格者数497大学集計)により見ていくことにします。なお、( )内の数値は前年度同時期対比の指数を示します。
⇒私立大学延べ志願者数、なんと12年連続増加!!
⇒10年前と比較し100万人以上増加
<図1 私立大延べ志願者数推移>
私立大500大学の一般選抜入試(推薦・AO入試等の特別選抜入試を除く)の延べ志願者数は363.1万人(107)となっています。前年度の確定志願者数を既に23万人以上も上回っており、12年連続増加が確定しています。
なお最終的な延べ志願者数は365万人前後になるものと予想されます。
⇒入試全方式で志願者数増加、特にセンター利用2桁増
<図2 私立大(一般選抜)方式別志願者数 前年対比増減率推移>
入試方式別での志願者数の増加率を見ると、一般方式・センター利用方式のいずれも増加していますが、特にセンター利用方式は2013年度以降では最も高い増加率となっており、前年度と比べて3.9ポイント増加率がアップしています。
これは入学定員管理の厳格化による合格者数絞り込みへの不安から、受験料が安価で個別試験の負担がない、あるいは軽いセンター利用方式への出願を増やした受験生が多かったことが影響しています。
⇒志願者数文高理低傾向鮮明、薬学部は減少幅最大
<図3 私立大(一般選抜)系統別志願者指数2ヶ年推移>
系統別では文高理低の継続が特徴です。国際関係(104)はやや増加にとどまっていますが、前年度は全系統の中で最も高い増加率だったため高い人気が継続しています。
理系では、農・水産(95)の減少が目立っています。理系で募集人員の最も多い工(106)は増加、理(103)はやや増加ですが、いずれも私立大全体の増加率を下回っています。
メディカル系では、保健衛生(106)の増加率が最も大きくなっています。一方で薬(95)は減少が継続しており、現時点では全系統の中で最も減少率が大きくなっています。
⇒文系は全系統で合格者減少、劇的な難化へ
⇒一方、生活科学、スポーツ、健康は競争緩和へ
<図4 私立大(一般選抜)系統別合格者指数2ヶ年推移>
合格者数は多くの系統で減少しています。特に文系の系統は全て減少が継続しており、中でも国際関係(86)の大幅減少が目立っています。
文系の系統は全て志願者数が増加しているため、厳しい入試になったことがわかります。増加している系統では、芸術(102)は志願者指数(109)より小さいため厳しい入試だったといえますが、保健衛生(106)は志願者指数(106)と同じ増加率のため、系統合計では前年度並の競争だったといえます。一方、生活科学(107)、スポーツ、健康は志願者指数を上回っており、競争が緩和していることがわかります。
⇒D・E判定者の多くが下位校への併願を増加
⇒結果として入試レベル全体が底上げへ
<図5 私立大(一般選抜)グループ別・文理別志願者指数>
第3回駿台・ベネッセマーク模試のB判定ライン(合格可能性60%)により、学部単位で5つのグループ(A=65以上、B=64~60、C=59~55、D=54~50、E=49以下)にわけた集計では、文系(110)は全グループで増加していますが、理系(103)はやや増加にとどまっており、Aグループ(99)は微減で、文理で唯一減少しています。
理系の他のグループは増加していますが、いずれも文系の同グループと比べるとかなり低い増加率です。また、文理ともD・Eグループの増加率が文系全体、理系全体の増加率より大きくなっています。特に文系ではいずれも大幅増加していることと受験生が合格者数絞り込みへの不安から、下位グループの大学の併願を多くしたことがわかります。
⇒文系A判定グループ合格者数最大の落ち込み
⇒E判定グループも志願者増加を吸収できず難化
<図6 私立大(一般選抜)グループ別・文理別合格者指数>
入学定員管理の厳格化の影響が大きい大規模な総合大学での大幅減少が目立っているため、全体(96)ではやや減少しており、前年度の484大学集計での減少率より大きくなっています。
文理別では入学定員の実人数が多い文系(94)がはっきりと減少しているのに対して、理系(99)は微減にとどまっています。
文系(94)はEグループ(106)のみ増加していますが、同グループの志願者数は3割近い大幅増加のため厳しい入試になったことがわかります。
他の4つのグループはいずれも減少しており、特に最上位のAグループ(89)は大幅減少しています。文系は志願者数が全グループで増加しているため、上位から下位まで厳しい入試となりました。