第121回 「どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。PartⅡ」
みなさん!こんにちは!! 前回、英語改革の全体スケジュールの記事の中で、新しくなる大学入試センター試験と民間資格・検定試験の活用について取り上げました。
「変わるのはわかったけど…民間資格・検定試験っていったい何? 英検のこと?」などと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は民間資格・検定試験の種類と特徴についてまとめていきたいと思います。
記事は教育改革2020からです。
⇒民間資格・検定試験には何があるの?
大学入試センター試験(大学入試共通テスト)のマークシート型英語試験に代わる民間資格・検定試験には何があるのか。結論から先に申し上げますと、実はまだ決まっていません。2018年3月末を目途に決まる予定です。
受検生の英語資格や検定の情報を取りまとめ、大学等に対して提供する役割を果たす独立行政法人大学入試センターの「大学入試英語成績提供システム」が、参加申し込みのあった資格・検定試験の各団体について、参加の要件を満たしているかを確認しているのが現在のフェーズとなっています。
…というのは表向きのタテマエで、実質的にはもうほぼ決まっています。というのも、もともと英語4技能を測定する外部テスト活用の検討は文科省の「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」で行われていたのですが、この連絡協議会に入っていた団体が運営する資格・検定試験がほぼそのまま「大学入試英語成績提供システム」に申し込みをしているからです。自分たちが検討していたしくみに対して、要件を満たさない申し込みをするとは思えません。
それらの団体は共同で英語4技能試験情報サイトというポータルサイトの運営も行っています。そちらの【 資格・検定試験一覧 】に掲載されている、英検、TEAP、IELTS、GTEC、TOEFL、TOEIC、ケンブリッジ英検あたりを押さえておけば問題ないでしょう(一応、これ以外にもケンブリッジ大学英語検定機構よりリンガスキルという試験の申込もありました。こちらは2018年春以降に日本導入予定の試験のようです。)
⇒参加するであろう民間資格・検定試験一覧
実用英語技能検定(英検)
おそらく日本で一番ポピュラーな英語試験。1級から3級までの一次試験合格者を対象に二次試験として面接委員との英語による面接試験が実施される。
英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会
TEAP / TEAP CBT
上智大学と日本英語検定協会が共同開発した大学入試向けの英語運用能力測定試験。2017年現在、約70の大学で採用されている。
TEAP | 公益財団法人 日本英語検定協会
IELTS
海外留学や研修のために英語力を証明する必要のある人や、イギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に最適なテスト。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関で認められている。
IELTS(アイエルツ)公式テストセンター | 公益財団法人 日本英語検定協会
GTEC / GTEC CBT
ベネッセコーポレーションが実施している「使える英語力」を絶対評価で測定する、スコア型の英語4技能検定。
GTEC | 中学・高校生対象のスコア型英語4技能検定
TOEFL iBT
英語を母語としない人々を対象に実施されている国際基準の英語能力測定試験。英語圏の大学へ留学・研究を希望する者を主な対象としており、英語による高等教育に適う能力の判定を目的としている。
TOEFLテスト-国際基準の英語能力測定試験 | TOEFLテスト日本事務局
TOEIC
英語を母語としない者を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を評価する世界共通のテスト。今回、「大学入試英語成績提供システム」に申込があったのは「TOEIC Listening & Reading Test」と「TOEIC Speaking & Writing Tests」の2種。
TOEIC Program|IIBC
ケンブリッジ英検
英語学習を楽しく、効果的で、達成感のあるものにすることを目的とした検定試験。英語力向上のための道のりを示し、継続的な進歩を推奨する。『東京都グローバル10』指定校でもある都立日比谷高校が採択したことで一躍脚光を浴びる。
ケンブリッジ大学英語検定機構
リンガスキル
ケンブリッジ大学英語検定機構が提供する、ビジネス英語能力テストBULATSを基礎として開発されたマルチレベル・テストの一つ。BULATSはビジネスパーソン向けのテストだが、リンガスキルは日常生活の中で身近なトピックが中心の一般英語(General English)の範囲での出題となる。2018年春より日本にて提供開始(予定)。
⇒もうはじまっている大学入学者選抜での活用
実は、こうした民間資格・検定試験の入学者選抜における活用は、大学入試共通テスト(新テスト)の開始を待たずして、すでに多くの大学ではじまっています。大学入試共通テストでどの資格・試験を選択するかは、併願先となる大学で利用認定されているものをベースに考えると試験対策の労力を最小限に抑えられるでしょう。
また、将来的に海外の大学への留学を考えている場合、その地域や学校ごとに受け入れられている資格・試験が変わってきます。大学入学後に留学したい地域をイメージしながら受検する資格・検定を選択し、大学入学後も継続的に受け続けるといった、長期的な戦略が必要になるかもしれません。
まとめ
以上、今回は英語4技能を測る民間資格・検定試験の種類と特徴についてまとめてきました。ご覧いただいたとおり、複数ある資格・検定は、特徴も測る尺度もそれぞれ違っています。それらをどのように公平に扱うのかについて、また別の機会にまとめたいと思います。