第122回 「どうする・どうなる!?2020年。保護者視点で分析する教育改革。PartⅢ」
みなさん!こんにちは!! 前回の記事では、新しくなる大学入試センター試験(大学入試共通テスト)で採用されると考えられる民間資格・検定試験の種類とその特徴について取り上げました。
《英語改革基礎知識①》民間資格・検定試験とは何か – 教育改革2020 今回は、それぞれの民間資格・検定試験を「実施回数」「費用」「会場」の3点で比較してみたいと思います。記事は教育改革2020からです。
⇒ 民間資格・検定試験の概要比較一覧
まず、なぜ表の中の「実施回数」が4月~12月に限定されているかというと、2020年度以降に国立大学を受験する場合、高校3年時の4月~12月に受検した2回までの結果を大学に提出できる、というルールがあるからです。ポイントは結果を提出できるのは2回分までですが、民間資格・検定試験の受検回数は(今のところ)制限されていないという点です。
一般的に、試験は受ければ受けるほど問題傾向に慣れ、対策が容易になります。つまり、回数を多く受けることができるほど、高い点数を取れる可能性も高まると言えるでしょう。
期間中に多く受検できることのできる資格・検定ほど有利、ということになりますが、同時に考慮しなければならないのが「費用」と「会場」です。1回あたりの「費用」が高くなれば複数回受検するハードルは高くなりますし、「会場」が少ないと、どうしても受検者の多い都市部開催となりますから、地方の生徒はそれだけアクセスするための交通費も多くかかってしまうことになります。
…という観点から、もう一度表を見返してみると、「実施回数」が多い資格・検定ほど「費用」が高く「会場」が少なめ、という傾向が見て取れると思います。明らかに都市部で経済的に恵まれている生徒が有利、地方の学生にとっては不利なしくみです。
⇒2020年度までに格差是正制度は整うか
繰り返しになりますが、民間資格・検定の結果を出願大学に提出できるのは、高校3年時の4月~12月に受検した2回までの結果です。このようなルールが決められた背景には、「早期に受検準備ができ、経済的に恵まれている生徒だけが有利にならないようにする」という配慮がありました。
しかしながら、上記のルールだけでは残念ながら公平性は担保されていないと言わざるをえません。ただでさえ、民間資格・検定の活用によって受験生家庭の費用負担が増えたというのに、そのうえさらに居住地や経済状況によって有利/不利が生まれてしまうのは非常にマズいのではないかという感想を持ちます。
大学入試センター試験が大学入試共通テストに切り替わる2020年度までに、生徒のおかれた状況に配慮した受験料の減額・補助・助成等の支援制度が整うことを願ってやみません。