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第71回 「厳しい現実 Ⅷ 合格者絞り込みの実態」

皆さん!こんにちは!! 前回に引き続き2017首都圏私大入試がいかに厳しかったかを振り返りつつ来年度の動向を探りたいと思います。この時期ですのでお陰様で連日受験相談に忙しい毎日を過ごしております。
その中で、よく聞かれるエピソードは「先輩方の受験結果を見ていると恐ろしくなります。」、「自分の高校が大学合格者発表を控えているようです。」、「早慶A判定だった友人がMARCHも落ちました。」等々枚挙に暇がありません。

そこで、これらのように寄せられた数々のご意見の実態を、以下の様にベネッセの記事を紐解きながら検証してみたいと思います。

「定員管理厳格化・合格者絞り込みが浮き彫り-ベネッセ入試結果調査」

ベネッセコーポレーションは2017年度入試について、全国3642の高校から51万8355人分の出願・合否結果の情報提供を受け、進研模試データを加えて分析。
ベネッセグループが集めた各大学の志願者データや次年度入試の変更点等の情報も加味し、夏休み前後に本格化する志望校選びの参考として、高校に情報を還元しています。

これらのデータに基づき、私立大学については「一般入試総志願者数の増加」「入学定員管理厳格化の影響の明確化」といった傾向が捉えられた。

⇒「一般入試総志願者数の増加」
⇒「入学定員管理厳格化の影響顕著」

早稲田大学、慶應義塾大学など首都圏の主要私立大学では、一般入試とセンター方式の合格者数の合計が前年度より減少したケースが目立つ。

入試方式ごとに分けて見ると、一般入試のほうで大きく減り、早稲田と法政では一般入試の合格者が前年度より2000人近く絞り込まれている。一方、センター方式は減少幅が小さいことがわかる。

⇒早稲田・法政は一般入試で2000人規模の大幅な絞り込み
⇒明治・青学・立教も1000人以上の絞り込み

⇒一方、各大学ともセンター方式合格者 は減少幅が小さいか、微増

下の二つのグラフは、日本大学、東洋大学など8校の一般入試とセンター方式、それぞれの合格者数を示している。日本大学を除き、いずれも一般入試の合格者が前年度より減っている。
東洋大学と専修大学はセンター方式で増加しており、一般入試で不合格となった受験生が学内併願したセンター試験によって合格を決めるケースもあったと推測される。

⇒一般入試合格者は日大を除き上位大学と同傾向
⇒各大学とも500名から1000名の合格者絞り込み

合格者の絞り込みによる難易度の上昇も明らかになった。進研模試のデータと突き合わせると、これらの大学では、出願の目安となる「合格率が40%を超える偏差値」が前年度より上昇した学部が目立つ。

前述の早稲田、法政に加え、明治、青山学院、立教の各大学も一般入試で1000人以上合格者を減らすなど、受験生にとっては厳しい入試となった。
一般入試で不合格、センター方式で合格となった者も多く、ベネッセは高校に対し、「次年度入試に向け、センター方式の利用まで視野に入れた学習指導、出願指導が重要になる」と助言している。

⇒上位校の動向による影響が従来以上に強くなる
⇒GTEC・CBT利用が拡大

次に、2018年度入試の変更点について見ていく。
全体的な変化としては、英語外部検定試験導入の拡大が挙げられる。GTEC CBTを利用する大学はわかっているだけで、2017年度入試の130校から2018年度以降は158校に増加。
東京理科大学は全学で、駒澤大学は医療健康科学部を除く全学部で、外部検定を導入。立教大学はセンター方式に利用を拡大する。明治大学と法政大学は利用学部を広げ、法政大学は一部の学部を除きGTEC CBTを追加する。

個別大学の入試の変更点にも触れておく。早稲田大学は「新思考入試(地域連携型)」をスタート。初の学部横断型AO入試で、文化構想、文、商、人間科学、スポーツ科学の各学部が導入する。
学習院大学は、一般入試で一つの学部を2回受験できるよう機会を拡大。学部ごとのコア試験日に加え、別の学部の試験日にも受験できるプラス試験日を設ける。

定員増の動きも続き、2018年度は明治大学が収容定員を1030人増やすのをはじめ、日本大学472人、武蔵野大学385人、日本女子大学137人、大東文化大学135人などの増も予定されている。

こうした環境の下、各大学は2018年度以降の入試にどう臨めばいいだろうか。

上位校が合格者を絞り込んで難易度が上がり、次の層の大学がその受け皿となりつつ自らも絞り込むという構図の下では、多くの大学が上位校の入試や志願動向の影響をより強く受けるようになる。

結果的に2017年度のように「志願者が集まり、歩留りも良く、学力レベルも向上する」という「いいことづくめ」も再び起こり得るが、そうした状況が多くの大学で長く続くとは考えにくい。
高校では大規模校の定員増の動きを捉えて「第一志望校をあきらめないように」との指導もなされており、第一志望に選んでくれる層が薄い大学にとっては厳しい環境になっていくだろう。

特に中堅以下の大学は、18歳人口の減少もにらみ、上位校の追加合格によって自学合格者の上位層が多く抜けるのを防ぐ手立てを考えておく必要がある。上位校との併願関係を作りつつ、自学の志望度を上げていくための受験生へのアプローチが必要だ。
そのためには、自学志望者の潜在層の掘り起こしを含め、的確なターゲティングが不可欠となる。

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