PAGE TOP ▲

第89回 「日東駒専大研究 ④」

皆さん!こんにちは!!いよいよ夏休みを前に志望校の最終選定を進めている生徒さんも多い時期に差し掛かって来ました。
今年度の入試でも過去最大の志願者を集め、難易度も上昇したと言われているのが「日東駒専」です。従来の首都圏中堅私大というポジショニングから難関校と言っても良い程の地位を固めつつあると言っても過言ではないでしょう。
そんな「日東駒専」をあらゆる角度から分析して参ります。記事は科学技術速報からです。

本

B判定でも不合格に…?「日東駒専」の難化が止まらないらしい

2018年春の大学受験について、東京都内の高校教員からこんな嘆きの声が聞こえてきた。
今年は〝日東駒専〟がかなり難化したと感じました。大手予備校の模試で、〝日東駒専〟の合格判定でB(合格圏内)を出していた生徒が軒並み入試で落ちてしまい、ショックを受けています。去年は早稲田大や〝GMARCH〟が難しくなりましたが、今年の〝日東駒専〟の不合格率は異常です。東京の私立大学入試は、今後どれだけ難しくなるのか。不安になってしまいます」(都内の私立高校教員)
言うまでもないが、〝日東駒専〟とは、日本大、東洋大、駒澤大、専修大、〝GMARCH〟は、学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大のこと。
首都圏の大学を偏差値別にグループ分けするときに、偏差値が高い順に〝早慶上理〟〝GMARCH〟〝日東駒専〟と言われることが多い。〝日東駒専〟は偏差値では中堅の大学といえる。
その〝日東駒専〟が今年、極端に難化したというのだ。一体なにが起こっているのか。

⇒「首都圏の受験生がかわいそう」

「首都圏の受験生、高校生には、ちょっとかわいそうなことをしているなと思います」
こう話すのは、大学入試に関する調査・研究や情報提供を行なっている大学通信の安田賢治常務。いわば大学入試のリサーチのプロも、今年は〝日東駒専〟が難化したことを認めている。

安田氏によると、その傾向は一般入試の志願者の数字に表れていた。大学通信が提供する「入学志願者速報」によると、4大学の志願者数の前年比は、次のようになっている。
<日本大学 102.3%>< 東洋大学 114.1%><駒澤大学 107.6%> <専修大学 102.9%>
どの大学も志願者を増やしていることがわかる。特に東洋大学は突出している。しかし、合格が難しくなった理由は、志願者数が増えたから、だけではない。合格者数も減らされているのだ。

⇒定員抑制で去年から難化

各大学が合格者を減らしているのは、文部科学省が「入学定員管理の厳格化」を進めているため。
毎年、大学は入学定員よりも多くの学生に合格を出してきたが、文科省は大学が定員を大幅に超過して入学させた場合、「私立大学等経常費補助金」を交付しないとして、この超過率の基準を年々引き下げてきた。
補助金が不交付となる超過率は1973年度は「7倍以上」(たとえば100人の入学定員なら、700人まで合格を出せる)だったが、2013年度には収容定員8000人以上の大規模大学では1.20倍、それ以外の大学では1.30倍まで引き下げられた。
この基準が16年度からさらに引き下げられ、18年度には「大規模大学は1.1倍、収容定員が4000人から8000人の中規模大学は1.2倍」と定められた。
大規模大学の場合、昨年は1.17倍、今年は1.14倍、と門戸は着実に狭くなっている。例年より合格者数が減るのだから、必然、合格は難しくなる。

日東駒専の志望者にとってさらにつらいのが、GMARCH志望者の中で、「滑り止め」として日東駒専を受ける学生が増えていることだ。
去年の受験では、難関・上位校が合格者数を減らしたことで「難化した」と話題になった。早稲田大と法政大が前年より2000人以上も合格者を減らしたほか、立教大は1500人以上、青山学院大は1400人以上、明治大は約1300人減らしていた。
この影響で、〝GMARCH〟を希望する受験生のうち、併願校として〝日東駒専〟を選ぶ学生の数がさらに増えているという。
「難関大学のさらなる難化を受け、今年は受験生がかなり併願校を増やしたと考えられます。今年の一般入試では、GMARCHクラスに合格した受験生が、日東駒専などの中堅校には受からなかったというケースもあったと聞いています」(大学通信 安田賢治常務)
入学定員の抑制は、来年の受験まで続く。来年も東京都内の多くの大学の入試が難しくなることは、間違いないだろう。

⇒東京23区の私立大学の定員を抑制

もう一つ、来年以降の私立大学の受験が難化する要因がある。
2月6日、政府は東京23区の大学の定員増加を抑えることを閣議決定した。東京23区に大学生が過度に集中しているため、首都圏の大学の定員増加を認めないことで、地方の大学を活性化するのが狙いだという。いわゆる「地方創生」の一環だ。
まだ国会で審議中だが、東京都は「理不尽な規制」「日本の大学の国際的地位の低下に繋がりかねない」と反発している。そもそも都心の大学は、いまでも首都圏の1都3県出身の学生が多くを占めている。
早稲田大や慶応大では、首都圏出身の学生の割合が10年前は6割だったが、いまでは7割を超えている。
「いまの高校生は地元志向が強く、以前のようには地方から東京には進学していません。地方の学生が東京の大学を受ける割合はそもそも少ないのだから、首都圏の大学の定員増加が認められなければ、結局首都圏の受験生が併願校を増やすことになり、23区内の大学の難度がさらにあがるだけ。
首都圏の受験生も、地方の私立大学に進学する割合は少なく、『地方にいくなら浪人して次のチャンスを狙う方がよい』となり、結局地方の活性化には繋がらないでしょう」(大学通信 安田賢治常務)

⇒入学定員抑制を理由に、非常勤を雇い止め?

入学定員抑制の影響が出ているのは、受験生だけではない。定員が抑制されることを口実に、非常勤講師を雇い止めしようとしている大学がある。〝日東駒専〟の一つ、日本大学だ。
日本大学は「教学に関する全学的な基本方針の策定にあたって」とする通達を、2015年7月に学内に出している。通達では入学定員超過率の上限が18年度に1.1倍未満になることや、さらに補助金の交付基準が下げられると見込まれることから、「財政基盤の縮小により教育環境の脆弱化につながる可能性」があると指摘。授業科目数を2割削減することを打ち出した。

先の経営状況を見越して、人件費を抑制するための手を打つこと自体は、経営判断として悪いことではない。問題は、科目数を減らすと同時に、「専任教員が主体となった日本大学としての教育の質の担保」をうたって、専任教員の基準授業時間を6割増やすことにある。
その結果、現在3600人あまりいる非常勤講師の担当授業が数字の上では全廃される可能性があり、非常勤講師が雇い止めされることにつながるという。
専任教員の授業が増えると聞けば、いいことだと思う人もいるかもしれない。ところが、今年3月をもって英語の非常勤講師15人が雇い止めされることが決まった危機管理学部・スポーツ科学部では、「専任教員が代わりに英語の授業を担当する」といいながら、実は語学学校に授業を委託することが明らかになったという。
専任教員は実質的には授業を観察するだけになるのではないか、とささやかれている。これが「教育の質の担保」と言えるだろうか。

⇒日本大学を告発

日本大学は、科目数の2割減を打ち出すと同時に、16年度以降に雇用した非常勤講師の任期を、5年上限とする就業規則を導入した。
しかしこの就業規則は、法律の趣旨に反している。労働契約法は13年に改正され、同じ職場で5年以上働く非正規労働者が申し出れば、無期雇用に転換できることになった。
にもかかわらず、この就業規則では、非常勤講師は無期雇用に転換できる権利が得られる前に雇い止めされることになる。
日本大学の目的は、内部資料でも明らかだ。導入を決めたのは2015年11月6日の理事会。当時の資料「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きい」と明確に書かれている。「無期雇用への転換を逃れるため」の就業規則なのだ。

しかも日本大学は、この就業規則を導入する際に、法律に沿った手続きをとっていない可能性がある。労働基準法第90条では、労働者の過半数が加入する労働組合か、労働組合がない場合は、全労働者の中から過半数代表者を選出して、意見を聞くことを定めている。
過半数代表者は選挙によって選ばれるが、日本大学は代表者を立候補させて、不信任投票で代表者を選んだ。
「労働基準法施行規則」や、「労働基準法解釈総覧」によると、過半数代表者の選出は、挙手などの方法で、労働者の過半数が支持していることを明確にした、民主的な手続きが必要とされている。
このため、「日本大学が実施した不信任投票は違法」だとして、首都圏大学非常勤講師組合は日本大学を今年2月、刑事告発した。非常勤講師自身も、渋谷労働基準監督署に是正措置を求める申告を行なっている。
日本大学は国内最大の学生数を誇り、経営状態も良好な大学だ。それなのに、合理化を目的に授業科目数を減らし、大量の非常勤講師を「雇い止め」しようとしている。
日本大学を告発した首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、定員抑制を理由にした雇い止めが認められることになれば、他の大学も追随して、多くの非常勤講師が職を失う危険性があると危惧している。

「日本大学は文部科学省の政策である定員抑制をいい口実にして、非常勤講師を雇い止めしようとしています。こんなことが許されたら、多くの大学が日大の手法を見習ってコストカットをするでしょう。授業を減らすことで結局は教育の質も低下することになり、学生が大学に行く意味がなくなるのではないでしょうか」(志田書記長)
政府は「地方創生」のために首都圏大学の「定員抑制」を進めるというが、その美名のもとに未来を奪われてしまう学生や教員はたまったものではないだろう。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

友だち追加

このエントリーをはてなブックマークに追加

友だち追加