第75回 「新しい流れから2019を占う Ⅰ 編入と言う裏技」
皆さん!こんにちは!!当ブログではこれまで全10回に渡り『厳しい現実』というタイトルで、2018年度私立大学入試を振り返って参りました。タイトル名が示すように受験生の皆さんにとっては厳しい話の連続になってしまいましたが、ライバルたちとの競争条件は平等ですから、腹を括ってしっかりと準備を進めましょう!!
そして今回からは視点を2019年度に移します。中でも近未来に大きな流れになる可能性を秘めた新しいトレンドに焦点を当てていきます。初回で取り上げるのは『編入』と言う裏技です。ダイヤモンドの記事を取り上げましょう。
⇒C級大学から早慶上智を目指す「編入」という大逆転技
専修大学から大学編入で大阪大学へ、大東文化大学から上智大学へ―。そんなウルトラCが「大学編入試験」では、しばしば起きている。予備校もその可能性に目をつけ、近年編入試験の対策コースを設置し始めた。現役での一般入試では叶わなかった大逆転合格に今、注目が集まっている。
⇒大東文化大学から、何と上智大学へ!!
都内の下位都立高校から現役で大東文化大学文学部に入学したCさん。3年次には、なんと30ほども偏差値が高い上智大学外国語学部に編入した。
大東文化大学では、その校風に馴染めず、また学内の友人達とのモチベーションの違いにギャップを感じていた。そして文学部に入ったものの、次第に興味の対象が語学や海外に向くようになり、次第に中退を考えるようになったのだという。
そんなとき、Cさんはインターネットで編入制度を知った。編入制度を活用すれば、今までの勉強の成果である単位や、それまで支払った学費を無駄にすることなく、自分の求める大学に入れる。「これしかない!」と感じたCさんは、大学1年次の終わりから、編入予備校へ入学した。
⇒私立大だけで無く旧帝大への門戸も広がる
Cさんは、毎日大学の授業が終わる夕方から予備校に通い始めた。英語と専門科目(小論文)の授業を受講して、基礎から猛勉強した。
「予備校の先生がいつも気にかけてくれ、おかげでめげずに頑張れたのが大きい」とCさん。
「何度も課題を添削してもらい、面談で悩みを聞いてもらった。半年後には成果があらわれ、編入専用の模試や小テストで校内順位が上がっていった。同時にはじめは辛かった勉強もだんだん楽しくなり、夢中になった」という。そして、ついに上智大学など難関といわれる複数の私立大学の合格を勝ち取った。
「当初は上智大学合格を、親にも高校の先生にも信じてもらえなかった。なんせ、日東駒専ですら合格は難しい高校でしたから」と聞けば、この逆転劇がいかに度肝を抜くものだったかが想像できるだろう。
⇒大学中退者の6人に一人は「転学」を経験
Cさんのような大学生は決して珍しくない。文部科学省が実施したアンケート「学生の中途退学や休学等の状況について」によれば、平成24年度に大学を中退した2.65%のうち、編入などで他の大学へ入り直す「転学」は15.4%にも及ぶのだ。
⇒編入メリット①学費と時間の節約
⇒編入メリット②少ない受験科目
では、そんな編入のメリットを見ていこう。
一つは、2年までいた大学の単位が編入先の大学でも卒業単位として認められることだ。そのため、中退して改めて一般入試で入り直すのに比べ、2年分の学費と時間を節約できる。また、一般入試より受験科目が少ないため、難関大学でも格段に入りやすい(下図参照)。
だが、それ以上に注目すべきなのは、一般入試と比べて競争相手が少なく、倍率が安定していることだ。
⇒編入メリット③低倍率
平成28年度に全国大学で実施された編入試験の志願者数は2万8935人。そのうち合格者数は1万1184人で、倍率は2.6倍だった。この数字は過去10年であまり変化していない(中央ゼミナール調べ)。
そして、編入試験と一般入試の受験者層の違いもポイントだ。
一般入試は全国のあらゆる学生が受験し、競争相手になる。特に難関大学では、東大などトップ中のトップを狙う層から、ギリギリ合格という層まで、非常に幅広い層と競争しなければならない。
⇒編入メリット④高学力層のライバル不在
一方、編入の場合は、早慶上智以上の学力の高い層はすでに一般入試で難関大学に合格していて、そもそも他大学に入り直そうなどという発想すらない。いわゆる高学力層を除いた競争相手しかいないのだ。編入試験の受験者層は、GMARCH以下の学生が大半を占める(下図参照)。
30年近く編入試験を指導してきた中央ゼミナールの宍戸ふじ江教務部部長も、「予備校に通うのは日東駒専の学生が中心。実際、このランクの学生でも国公立大学に合格できている」と話す。