第79回 「受験シーズン本番直前の考察 Ⅱ」
皆さん!こんにちは!!今回は前回に引き続き「受験シーズン本番直前の考察」の第2弾として、首都圏私立大学がどれほど難化したのかという観点から私大の雄「明治大学」と「東洋大学」を研究したいと思います。前回の「早稲田大学」では悉く合格者減少と志願者増加が重なり、結果として合格倍率が急上昇するという悪循環が繰り返されました。まさに2018首都圏私立大学難化が裏付けられた格好です。
<明治大学・過去4年間の合格実績に関する考察>
明治大学の文系学部に目を向けると、とにかく目立つのは「志願者増加」の状況。その人気度を示すかのようにわずか3年の間に志願者を20%増加させた学部を紹介している。
その一方で合格者数については、文系学部とひとくくりにすることはできない。2017年春を底として2018年春には増加に転じた学部が多い一方、法学部については続落を続け、早稲田法学部を上回る30%以上の大幅な減少率となった。すでに上位生であっても「早慶はともかく明治は受かるだろう」と高を括ることはできない状態となっている。
理系学部については、早稲田と同様に難化の度合いは文系学部に比べれば緩く推移している。
【注】特に女子の間で人気があり、その人気が高止まりしている明治大学に対する合格実績の変動は、特に高校入試を行う高校では色濃く「翌年の高校入試の人気度」に反映される。早稲田大学よりも1年早く、昨年の合格者数で急減の傾向が見えており、今春の受験生も学校側もそれなりの対策や保険をかけて臨むことができたはずで、今春合格実績を大きく減らした高校についてはその「受験指導力」に疑問符をつけてよい。
<東洋大学・過去4年間の合格実績に関する考察>
2017年春入試で初めて一般入試の志願者数が10万人を超えた東洋大学にも昨今の受験事情が反映されている。
2018年春入試では、志願者数をさらに1万人上乗せして全私立大学中6位(近畿大、法政、明治、早稲田、日本につぐ)まで順位を上げている。いわゆる偏差値ランキングはともかく、受験生への認知度・人気という点ではすでに一流大学の仲間入りを果たしている。
その理由は明確で「徹底して受験生の利便性を追い求めた」ことにある。出願をすべてネットに切り替えたタイミング(2014年)が最も早かった大学の1つであり、地方会場での入試や受験料割引にも積極的。また、他大学が夜間部を廃止する中イブニングコースという名称で学費を割安にして学生が学べる環境を確保するなど、学生のニーズに応えようとする姿勢が伝わってくる。
それだけに、2015年春からの推移を見るだけでもその人気の高まりが伝わってくる。その反面合格者数は他大学と同様に絞っているので、一気に難易度も急上昇。けっして入りやすいお手軽な大学ではなくなっている。
<まとめ>
「首都圏私立大学大幅難化」の正体は、けっして最上位生が目指す早慶上智や、それに続く層が目指すMARCHの状況だけで把握できるものではない。
東洋大学のような「親の世代から見るとちょっと手を伸ばせば届きそうな感覚の大学」の人気度アップと、それに伴う志願者増が大きく影響していることを保護者は知っておかないと、各高校の合格実績だけを拾って進学先えらびの基準としていては、判断を誤る可能性が高い。
対策はシンプルで「安易に数学を捨てるな!」の1点に尽きる。数学をサッサと捨てて私立文系にシフトすれば、大学入試においても就職活動においてもレッドオーシャンしか待っていない。「代わりはいくらでもいる世界」で勝負するしか選択肢がなくなる。できる限り国公立を目指して日々の勉強を続けることで、自分の選択肢を増やしておくことしか対策はない。