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第81回 「受験シーズン本番直前の考察 Ⅳ」

皆さん!こんにちは!!当ブログ第78回と第79回で、理系学部の人気安定を分析した上で「受験科目としての数学再考」を提言しましたが、これをサポートする記事が東洋経済から確認されましたので、今回のテーマとしたいと思います。私立文系のレッドオーシャンに軽々と巻き込まれるよりも、数学を受験科目として簡単に捨てる事を回避する事により、ブルーオーシャンで悠々と泳ぎまわることが出来るかもしれません。

⇒数学回避が招く年収格差に愕然…

「同期の6割は理系、残りはほとんどが国立大学の文系。私立大学の文系は1人だけだった。」外資系コンサルティング会社に新卒で入社した人物はこう語る。

この人物が入ったのは学生に最も人気の高い業界である戦略系コンサルティング会社。同期が1人だったという私立文系は、英語、国語、社会だけでも受験ができ、数学を受験科目に入れないことが多い。「論理的な思考や数字の強さが必要な仕事だけに、数学のできない私立文系はコンサル業界に入りにくいのではないか」と話す。

⇒数学など理系のセンスが就職市場で重要性増す。

就職情報サイト、マイナビの調査によると、2019年大学卒業予定者について「理系の採用を増やす」と回答した企業は34.3%であった。「文系の採用を増やす」と回答した企業の29.4%を大きく上回る結果となっている。理系と文系の内定率を見ても、つねに理系が文系を上回るなど理系人材への引き合いは強い。

理系の内定率は文系を常に上回る

⇒デジタル化対応で理系人材の採用を強化

『就職四季報』(小社刊)は直近5年間で、企業が理系採用の比率をどれだけ引き上げたかを調べた。

上昇率が36.8%ポイントと最も高かった塩野義製薬は、これまでは文系が中心だったMR(医薬情報担当者)の採用で、薬学系を増やしている。

住宅設備大手のLIXIL(リクシル)は、住宅のデジタル化が進むなか、AI(人工知能)やIoT(あらゆるものがインターネットとつながること)の技術強化が必要なため、また、リクルートホールディングスは、データ解析やアプリ開発のエンジニアを確保するために、それぞれ理系人材の確保に動いている。

エアコン世界最大手のダイキン工業は、「AI分野などを強化するため、定期採用の350人とは別に100人の新卒技術者を採用する」(井上礼之会長)と意気込んでいる。現在社内に約100人いるAI人材を、20年までに700人ほどに増やす考えだ。

日本では専門的な理工教育を受けた層は少ない。韓国やドイツでは学生の6割が理工系の専門教育を受けており、英国は4割、米国は3割が理工系。日本の2割という割合は、先進国の中でも特に低い。

理系採用比率を上げた主な会社

⇒数学を学んだ文系とあきらめた文系の年収格差

1学年当たりの全国の大学進学者60万人のうち、私立大学に通うのが8割であり、そのうち6割は文系が占めている。

同志社大学の浦坂純子教授らの研究では、文系人材の中でも高校レベルの数学ができる人と、数学ができない人とで「年収格差」のあることが明らかになっている。

文系学部の卒業者の年収を調査した結果、数学を受験科目とした者の年収の平均が532万円(平均年齢は43.5歳)であったのに対し、数学で受験しなかった者の年収の平均は443万円(平均年齢は41.4歳)であった。数学を受験した者のほうが約90万円、平均年収が高いという。偏差値60以上の主要私立3大学の経済学部の卒業者(首都圏1校、関西圏2校)を対象にした調査でも、同様の結果が出ている。

大学入試での数学受験者は平均年収が高い

浦坂教授は、「数学は論理的思考の土台となるもの。幅広く学び基礎学力をつけるべき高校時代に、私立文系への進学を選んで科目数を絞ると、偏りのある勉強にならざるをえない。この選択が、将来の年収にも影響しているのではないか」と分析する。

日本の教育政策に長年携わってきた、文部科学省大臣補佐官の鈴木寛氏も、日本の数学教育の問題点を指摘する。

経済協力開発機構(OECD)に加盟する国々の中で日本は、15歳までは数学の力が高く、特に上位20%(1学年当たりの人口100万人のうち20万人)は、世界トップクラスの数学の力を持っている。

だが私立文系を進路に選んだ高2~3年生が数学の学習から離れてしまうため、「15歳まで世界トップクラスの数学力を持つ20万人は、高校卒業時点で5万人に減っている。もし、今失っている15万人が高3まで数学を続ければ、日本はもっと創造性豊かな国になる」(鈴木氏)。

国立情報学研究所の新井紀子教授らが目指したAIによる東大受験「東ロボくん」は、16年に偏差値57.1をたたき出し、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)や関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)に合格できるほどにまで成長した。

MARCHの一角を占める大学の経済学部で准教授を務める人物は、「テストで計算問題を課すと、1割近くの学生が問題文の数字の2000を200などとし、ケタを間違って解いてしまう。学力は数学以前のレベル」と、私立文系大生の数理的な素養の低さを嘆く。

数学を避けて通るという高校時代の選択は、就職、年収といった人生の要素をも大きく左右しかねない。

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